サイバー攻撃の脅威

「国際空港ハッカー」が航空機と乗客の安全を脅かす

松原実穂子・NTTチーフ・サイバーセキュリティ・ストラテジスト
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 国際航空運送協会によると、2017年の世界の航空旅客数は40億人を突破した。36年までに倍増し、78億人に達すると見ている。過去20年にわたり世界一の旅客数を誇る空港は、年間1億人以上が利用する米国のアトランタ国際空港だ。羽田空港は約8541万人が利用しており、北京、ドバイに続き世界第4位である。

 国や都市の玄関口である空港に対するサイバー攻撃は、便の遅れによって、人々の移動の足を直撃する。また、窃取される情報の種類によっては、空港の安全に関わることもあり得る。

 16年7月29日、ベトナムの主な国際空港2カ所と地元航空会社のウェブサイトがハッキングされた。空港の運航状況を示す画面と航空会社のウェブサイトが改ざんされ、南シナ海をめぐる中国との紛争にからみ、ベトナムとフィリピンの主張を批判するメッセージが掲載された。

 ハッカーたちは自らを「China 1937CN Team」と名乗り、今回のハッキングは両国への警告だと主張した。このハッカー集団は、13年と15年にもベトナムとフィリピンのウェブサイトを攻撃している。このうち15年5月には、政府や教育系のものを含むベトナムの1000ものウェブサイトが、フィリピンも200のウェブサイトが攻撃された。

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松原実穂子

NTTチーフ・サイバーセキュリティ・ストラテジスト

早稲田大学卒業後、防衛省で9年間勤務。フルブライト奨学金により米ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院で修士号取得。その後、米シンクタンク、パシフィックフォーラムCSIS(現パシフィックフォーラム)研究員などを経て現職。国内外で政府、シンクタンクとの意見交換やブログ、カンファレンスを通じた情報発信と提言に取り組む。