社会・カルチャーベストセラーを歩く

菅野仁「友だち幻想」傷つけあうことを避けるヒント

重里徹也 / 文芸評論家、聖徳大教授

 子どもが「ムカつくやつがいる」と漏らしたときに、私たちには2種類の答え方がある。ひとつは「彼にもいいところがあるだろう。仲良くする努力をしなさい」。もうひとつは「気が合わないのだったら、ちょっと距離を置いて、ぶつからないようにしなさい」。

 どちらがいいのか。10年前に刊行され、今もベストセラーとして売れ続けている菅野仁「友だち幻想」(ちくまプリマー新書)は後者を勧める。それは冷たいのではなく、互いに傷つけ合うことを避ける知恵だというのだ。

 人が抱える悩みの多くは、人間関係をめぐるものではないだろうか。家庭でも学校でも職場でも地域でも、人…

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重里徹也

重里徹也

文芸評論家、聖徳大教授

1957年、大阪市生まれ。大阪外国語大(現・大阪大外国語学部)ロシア語学科卒。82年、毎日新聞に入社。東京本社学芸部長、論説委員などを歴任。2015年春から聖徳大教授。著書に「文学館への旅」(毎日新聞社)、共著に「村上春樹で世界を読む」(祥伝社) などがある。