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ポンペオ氏の言う「2年半」で北朝鮮の非核化は可能か

会川 晴之・毎日新聞北米総局特派員
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朝鮮労働党本部庁舎で、ポンペオ米国務長官(左)と握手する金正恩・朝鮮労働党委員長=2018年5月9日(朝鮮中央通信・朝鮮通信)
朝鮮労働党本部庁舎で、ポンペオ米国務長官(左)と握手する金正恩・朝鮮労働党委員長=2018年5月9日(朝鮮中央通信・朝鮮通信)

 6月12日、シンガポールで、トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との歴史的初会談が開かれた。

 「大部分の軍縮を2年半程度で達成できると考えている」。会談翌日の13日、ポンペオ米国務長官は会談内容を韓国、日本政府に伝えるため立ち寄ったソウルで記者団に語り、トランプ政権1期目中の非核化実現に意欲を燃やした。ポンペオ氏の言う「2年半」で非核化は可能なのか。米国では両論がある。

 核兵器研究を手がけるロスアラモス研究所の所長を務めたスタンフォード大のヘッカー教授は「10~15年」と短期間では難しいと分析する。これに対し「核の番人」と呼ばれる国際原子力機関(IAEA)で核査察官を務めた専門家は、取材に「2~3年で可能」と述べる。

 ヘッカー教授は、過去4回、北朝鮮の招きで寧辺(ニョンビョン)などの核施設を訪問し、核開発の進展状況を報告してきたことで知られる。教授は、核施設の稼働停止に1年、核施設や核兵器の無能力化に5年、廃炉や放射能汚染された施設の除染終了までに10年程度がかかると見る。同時進行できる部分もあるが、全体では15年程度がかかるという見立てだ。

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会川 晴之

毎日新聞北米総局特派員

1959年東京都生まれ、北海道大学法学部卒、87年毎日新聞入社。東京本社経済部、政治部、ウィーン支局、欧州総局長(ロンドン)、北米総局長(ワシントン)などを経て、2018年12月から現職。日米政府が進めたモンゴルへの核廃棄計画の特報で、11年度のボーン・上田記念国際記者賞を受賞。日本発の核拡散を描いた毎日新聞連載の「核回廊を歩く 日本編」で、16年の科学ジャーナリスト賞を受賞。著書に「核に魅入られた国家 知られざる拡散の実態」(毎日新聞出版)。