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抜け穴封じられた相続節税の定番「小規模宅地の特例」

渡辺精一・経済プレミア編集部

変わる相続(1)

 実家の相続をする場合、土地の評価額を大幅に減らすことのできる特例が2018年4月に厳格化された。「節税策の定番」として広く使われているだけに、活用を考えていた人は注意が必要だ。

残された家族の「生活の場」守る

 亡くなった人(被相続人)が自宅敷地にしていた土地を、その配偶者か同居している親族が相続した場合、330平方メートルを上限に、相続税を計算する際の土地評価額を8割減らすことができる。これを「小規模宅地等の特例」という。土地評価額が1億円でも、2000万円に減額され、非課税枠である「基礎控除」を引けば、課税なしで済むケースもある。

 日本の持ち家比率は6割と高く、相続税を申告した人が相続した財産の4割は土地が占める。2015年の相続税申告でこの特例の適用を受けたのは約5万件。全体の半分を占めるなど広く使われている。

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経済プレミア編集部

1963年生まれ。一橋大学社会学部卒、86年毎日新聞社入社。大阪社会部・経済部、エコノミスト編集次長、川崎支局長などを経て、2014年から生活報道部で生活経済専門記者。18年4月から現職。ファイナンシャルプランナー資格(CFP認定者、1級FP技能士)も保有。