藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

レバノン首都ベイルート「中東のパリ」の今を見に行く

藻谷浩介・地域エコノミスト
  • 文字
  • 印刷
ベイルート港からレバノン山脈を望む。フェニキア語で白の意味の「レバン」からレバノンの名がついた。この山脈に降る雪を意味する(写真は筆者撮影)
ベイルート港からレバノン山脈を望む。フェニキア語で白の意味の「レバン」からレバノンの名がついた。この山脈に降る雪を意味する(写真は筆者撮影)

 シリアとイスラエルという、ややこしい隣人に囲まれた小国・レバノン。1975年4月、東アジアでベトナム戦争が終わったその同じ月に混迷の内戦に陥り、以来今日まで紛争続きという印象がある。だがいま調べてみると飛行機も普通に飛んでいるし、渡航するなという勧告も出ていないようだ。「中東のパリ」と言われた美しいベイルートの街並みは、まだ残っているのか? 腰軽く行って見て、歩いて見て、わかったことと、やはりよくわからないこと。

 2018年2月末から3月頭にかけて、筆者はレバノンのベイルート、ヨルダンのアンマン、クウェート、バーレーンを回った。アラブ首長国連邦のドバイをゲートウエーに、遠回りだがモスクワ経由で往復したのである。

 愛用のカメラ、キャスターバッグ、そしてパソコンまでが次々壊れるというトラブルに見舞われたこの旅行。しかし出向いた国々は、それぞれに壊れそうな要素を抱える社会を必死にメンテナンスし、前を向いて進もうとしていた。

この記事は有料記事です。

残り2628文字(全文3043文字)

藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。