20年以上前のことだが、京都・洛東を歩いていたとき、急な雨に降られて近くにあった博物館に飛び込んだことがある。そこで青銅器と銅鏡の展示を見たのだが、そのあまりにも充実したコレクションに圧倒された。それが京都・鹿ケ谷(ししがたに)にある泉屋(せんおく)博古館である。重要文化財級と思われる鏡が所狭しと並べられていたが、これらを収集したのが大坂の豪商の住友家だ。
泉屋博古館の膨大なコレクションは、主に、明治から昭和の住友家当主十五代目や十六代目が収集した美術品で、中心となる中国の青銅器のコレクションは世界的にも知られている。「泉屋」とは、住友家の屋号・泉屋(いずみや)を音読したもので、「博古」は古代中国の青銅器図録「博古録」にちなんでいる。2002年には東京・六本木にも分館ができている。
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