ニッポン金融ウラの裏

キャッシュレス社会の実現に「銀行主導」の勘違い

浪川攻・金融ジャーナリスト
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 キャッシュレス決済の主導権確保に向けて、銀行業界の熱が上昇している。だが、小売りなど他の業界からの視線は極めて冷ややかだ。銀行業界がホットになるほど、「銀行業界の空回り」ぶりにあきれるムードが強まっている。

全銀協会長がキャッシュレス推進協メンバーに

 日本は世界のなかでも突出した現金決済王国だ。その日本でキャッシュレス決済を進めようと、経済産業省が主導し産学が加わった「キャッシュレス推進協議会」が7月に発足した。そのメンバーに銀行業界を代表して藤原弘治・全国銀行協会会長(みずほ銀行頭取)が就いた。

 7月19日に行われた藤原・全銀協会長の定例記者会見は、そのキャッシュレス決済が質疑のメインテーマとなった。藤原会長は、金融業界をはじめ小売り、外食産業を含めて現金の取り扱いコストが産業界全体で8兆円にのぼると説明し、「その半分の4兆円程度は軽減できる」と語り、キャッシュレス化を進めるメリットを強調した。

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浪川攻

金融ジャーナリスト

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。