
施設内のシステムが外部のインターネットと繋がっていなくても、サイバー攻撃によって物理的な被害を受けることがある。そのことを世界中に認識させ、衝撃を与えたのがイラン中部・ナタンツのウラン濃縮施設へのサイバー攻撃だ。
2009年後半から10年初頭にかけて、ウラン濃縮施設の遠心分離機が1000基破壊された。サイバー攻撃で、遠心分離器につながるインバーター機器の周波数が変えられ、遠心分離機の回転速度が速くなったり遅くなったりした。遠心分離機に過度の負荷がかかり破壊されたのである。
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松原実穂子
NTTチーフ・サイバーセキュリティ・ストラテジスト
早稲田大学卒業後、防衛省で9年間勤務。フルブライト奨学金により米ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院で修士号取得。その後、米シンクタンク、パシフィックフォーラムCSIS(現パシフィックフォーラム)研究員などを経て現職。国内外で政府、シンクタンクとの意見交換やブログ、カンファレンスを通じた情報発信と提言に取り組む。