サイバー攻撃の脅威

圧力急上昇で爆発 トルコ石油パイプラインが狙われた

松原実穂子・NTTチーフ・サイバーセキュリティ・ストラテジスト
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 2008年8月5日午後11時ごろ、トルコ北東部の石油パイプラインで大爆発が起きた。炎が50メートルの高さにまで上がり、3万バレルの石油が失われた。完全に鎮火したのは8月9日、送油が再開したのは8月25日であった。

 この石油パイプラインはカスピ海油田からアゼルバイジャンの首都バクー、ジョージアの首都トビリシを経由し、地中海沿岸のトルコ・ジェイハンに至る。全長1768キロで、世界第2位の長さを誇る。

 パイプラインは国際石油メジャーの英ブリティッシュ・ペトロリアム、米シェブロンなどが中心の国際プロジェクトで、1日当たりの損失額は500万ドル(5億4400万円)にのぼった。

 事故の翌日、トルコ政府は、爆発が機械の故障によるものと発表した。ところが、次の日にはクルド人の独立国家建設を目指す武装組織のクルド労働者党(PKK)が犯行声明を出した。クルド労働者党は1990年代からトルコのエネルギーインフラを狙った攻撃を繰り返していた。

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松原実穂子

NTTチーフ・サイバーセキュリティ・ストラテジスト

早稲田大学卒業後、防衛省で9年間勤務。フルブライト奨学金により米ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院で修士号取得。その後、米シンクタンク、パシフィックフォーラムCSIS(現パシフィックフォーラム)研究員などを経て現職。国内外で政府、シンクタンクとの意見交換やブログ、カンファレンスを通じた情報発信と提言に取り組む。