
アルゼンチン通貨危機(2)
米連邦準備制度理事会(FRB)による段階的な利上げを受け、世界中にあふれてきた「緩和マネー」が縮小を始めている。その影響を真っ先に受けたアルゼンチンの通貨ペソは今年4月下旬以降急落し、通貨危機が発生した。アルゼンチン型の苦境は今後、他の新興国にも広がる恐れがある。
「FRBの利上げが、予想された中で最速ペースだったことが原因の一つだ」。アルゼンチンのギード・サンドレリス財務相筆頭補佐官は、毎日新聞の取材にこう語った。同氏は「財政赤字削減やインフレの問題に取り組んだが、弱さが残っていた」として経済改革の不十分さを認めつつも、通貨危機の引き金については「干ばつと原油高、(FRBの利上げ加速に伴う)国際金融市場の混乱という三つのショックに襲われた」と説明する。
アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで7月下旬に行われた主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、トランプ米大統領が仕掛ける貿易戦争と並び、一部新興国経済の不安定化を世界経済の下振れリスクに挙げ、その対応策を協議した。
この記事は有料記事です。
残り773文字(全文1235文字)
投稿にはログインが必要です。
清水憲司
毎日新聞経済部副部長(前ワシントン特派員)
1975年、宮城県生まれ。高校時代まで長野県で過ごし、東京大学文学部を卒業後、99年毎日新聞社に入社。前橋支局を経て、東京経済部で流通・商社、金融庁、財務省、日銀、エネルギー・東京電力などを担当した。2014~18年には北米総局(ワシントン)で、米国経済や企業動向のほか、通商問題などオバマ、トランプ両政権の経済政策を取材した。