藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

ヨルダン首都アンマン「19の丘・特異な地形」の街

藻谷浩介・地域エコノミスト
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アンマンのダウンタウンに完全な形で残るローマ時代の円形大劇場(写真は筆者撮影)
アンマンのダウンタウンに完全な形で残るローマ時代の円形大劇場(写真は筆者撮影)

 西はイスラエル(と日本は未承認だがパレスチナ)に正対し、北はシリア、東はイラクに隣接するヨルダン。農地にも淡水にも乏しく、石油も出ず、周囲で紛争が起きるたびに大量の難民が流れ込んできた。だがガイドブックには、「中東で最も旅行しやすい国」「治安が良く人は親切」と書いてある。そもそもいかなる経緯で独立し、どうやって食べているのか。まず行って見て驚き、後から考えてみて悩む、この国の存立基盤の現在・過去・未来。

 2018年2月末から3月初め、アラブ首長国連邦のドバイをゲートウエーに、レバノンのベイルート、ヨルダンのアンマン、クウェート、バーレーンと回った弾丸旅行の、最大の眼目がアンマンだった。「現国王が健在の間に行っておいた方がいいよ」と、世界に詳しい著名知識人に勧められたのである。アブドラ国王はまだ50代、戦闘機を操縦することで有名なスーパーマンで、代替わりはまだ先だろうが、どのように治まっているのかに興味を引かれたのだ。

 ベイルートから、13時半発のロイヤル・ヨルダン航空アンマン行きの便に乗る。実際の運航は、レバノン本拠の地中海航空だ。長蛇の列があるかと思ったが、空港にはパスポートを挿入するタイプの自動チェックイン機があって、まだ11時前なのに3分で搭乗手続きが終わってしまった。

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。