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篠原尚之元財務官が語る「リーマン時は米当局に慢心」

エコノミスト編集部
篠原尚之元財務官
篠原尚之元財務官

リーマン・ショック10年(1)

 2008年9月のリーマン・ショックから10年。世界を巻き込んだ巨大なバブル崩壊はなぜ起き、その教訓は何か。当時財務官だった篠原尚之氏に聞いた。週刊エコノミスト8月14・21日合併号の特集「リーマン・ショック10年」よりお届けする。(構成=エコノミスト編集部・浜条元保)

介入に踏み切る覚悟は決めていた

 震源地の米金融当局者でさえリーマン・ショック直後、事態の全容が把握できていなかったことには驚いた。米住宅バブルの崩壊が実体経済にどのようにして金融システムに波及していくか、その経路が理解できていなかった。

 米国の住宅価格は06年にはピークを付け、下落局面に入っていたが、「金融システムは万全だから、住宅バブルが大崩れしたところで大事には至らない」と、米連邦準備制度理事会(FRB)をはじめ米金融当局は楽観的過ぎた。油断や慢心があったと私は思う。

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藤枝克治編集長率いる経済分野を中心として取材、編集するチーム。経済だけでなく社会、外交も含め幅広く取材する記者の集団であり、各界の専門家にコラムや情報提供を依頼する編集者の集団でもある。