
2016年5月31日、米国南部の都市を走る高速道路上の電光表示板4カ所がハッキングされた。車を運転していた人々は、電光表示板の掲示が道路状況や工事の予定に関する見慣れたものとかなり違っていることに戸惑った。
二つの電光表示板には、米大統領戦に出馬中のトランプ候補(当時)をやゆする言葉が表示されていた。残りの二つは、それぞれ「バーニーを大統領に」「仕事はキャンセルになった--帰宅しよう」であった。バーニーとは、同年の米大統領選でヒラリー・クリントン氏と民主党指名候補を争ったバーニー・サンダース氏のことである。
州の交通省が電光表示板ハッキングの原因調査を行った。交通省は、「こうした行為は、高速道路で自動車を運転している方々を危険にさらす。運転時に気が散ってしまいかねない」と警鐘を鳴らしている。
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松原実穂子
NTTチーフ・サイバーセキュリティ・ストラテジスト
早稲田大学卒業後、防衛省で9年間勤務。フルブライト奨学金により米ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院で修士号取得。その後、米シンクタンク、パシフィックフォーラムCSIS(現パシフィックフォーラム)研究員などを経て現職。国内外で政府、シンクタンクとの意見交換やブログ、カンファレンスを通じた情報発信と提言に取り組む。