くらし人生100年時代のライフ&マネー

働けない時の「就業不能保険」を選ぶ三つのポイント

渡辺精一 / 経済プレミア編集部

保険を見極める(4)

 病気やけがで働けなくなり収入が途絶えた場合、まず、公的保障制度で対応できるが、これに上乗せできる民間の保険商品が増えている。生命保険会社が扱う「就業不能保険」、損害保険会社の扱う「所得補償保険」だ。

外資系や国内大手の参入相次ぐ

 就業不能保険は、病気やけがによる入院・在宅療養で働けなくなる状態になると、一定の免責期間が経過した後、保険金を毎月受け取ることができる保険商品。給付期間を60~65歳までに設定している商品が大半で「定年まで長期間カバーする」という設計だ。米国やドイツでは生命保険会社の主力商品に成長している。

 ライフネット生命が2010年に販売開始して以来、アフラック、日本生命保険、住友生命保険など外資系・国内大手の参入が相次ぎ、現在最も注目される保険商品の一つだ。ただし、新しい分野であるため、各社の商品には違いが大きい。

 比較するポイントは(1)保険金を支払う「就業不能」の定義(2)対象となる病気(3)保険金の給付が受けられない免責期間の長さ--の3点だ。

「今の仕事に復帰できるか」ではない

 (1)は入院や在宅療養で「いかなる業務にも従事できない」状態とするのが主流。ただし、在宅療養ではその判断が難しいため、身体障害者手帳や障害年金など公的制度で認定されていれば支給する商品も増えている。注意したいのは、必ずしも「今就いている仕事ができるかどうか」ではない点だ。

 (2)は限定しないのが主流だ。ただし、一部商品では5大疾病(がん、急性心筋梗塞〈こうそく〉、脳卒中、肝硬変、慢性腎不全)など特定の病気に限定したものもある。うつ病など精神疾患は対象外とするものが多いが、日本生命、住友生命、朝日生命などは支給期間を限定したり一時金で対応している。

 (3)の免責期間は「待機期間」ともいい、就業不能の状態になってから初めて保険金が支払われるまで一定期間を置くことが定められている。免責期間は60~180日が中心で、短いほど保険料は高くなる。

 保険料の目安はどれくらいだろうか。ライフネット「働く人への保険2」の場合、契約年齢35歳・男性で「月10万円給付、保険期間65歳満了、免責期間60日」のプランの月額保険料は3001円だ。

損保の所得補償保険とどう違う

 所得補償保険は損保各社が1970年代から扱っている。就業不能保険との大きな違いは、免責期間が最短7日、支払期間も1~2年と短いことだ。就業不能の定義は「原職に復帰できない」状態とするのが一般的。有休や傷病手当金がなく、働けなくなると収入が途絶える自営業者向け商品で、弁護士や医師など専門職の利用が多い。

 これを長期補償としたのが長期所得補償保険だ。個人向けでは日立キャピタル損害保険「リビングエール」がある。免責期間60~365日、支払期間最長65歳までで、就業不能の定義は「いかなる業務にも従事できない」状態であるなど、内容は就業不能保険に近い。

 企業向けには、団体長期障害所得補償保険(GLTD)がある。会社員が勤務先を通じて加入する団体保険で、復職できない状況になれば給与の一定部分を最長定年まで補償する。精神疾患も対象とするものが多い。団体保険で会社が保険料の一部を負担する場合もあり、保険料が割安なのが大きなメリットだ。福利厚生として導入する企業が増えている。

 次回は、どんな人にニーズが高いのか具体的に考えよう。

 <「人生100年時代のライフ&マネー」は毎週月曜日更新です>

渡辺精一

渡辺精一

経済プレミア編集部

1963年生まれ。一橋大学社会学部卒、86年毎日新聞社入社。大阪社会部・経済部、エコノミスト編集次長、川崎支局長などを経て、2014年から生活報道部で生活経済専門記者。18年4月から現職。ファイナンシャルプランナー資格(CFP認定者、1級FP技能士)も保有。

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