藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

チリ・バルパライソ 壁画の街で過ごした魅惑の時間

藻谷浩介・地域エコノミスト
  • 文字
  • 印刷
バルパライソ名物のアセンソール(屋外エレベーター)片道15円ほどの気軽な乗り物(写真は筆者撮影)
バルパライソ名物のアセンソール(屋外エレベーター)片道15円ほどの気軽な乗り物(写真は筆者撮影)

 2017年3月初旬。飛行機の予約ミスで生じた空き時間に、チリ・サンティアゴから日帰りで訪れた、世界遺産の港町・バルパライソ。移動の公共交通手段はバスしかないが、2時間弱の乗車は快適で、治安が良くないという噂も聞いていたのだが、歩いてみた感じは平和そのものだった。家々に描かれた壁画を鑑賞しながら、斜面を埋め尽くす住宅街の中を登って行く。

 斜面の上に築かれた市街地をさまようのが、何より好きな筆者にとって、バルパライソ(=天国の谷)は「天国の丘」だった。急坂を丘の中腹まで登って、等高線に沿ってグネグネと延びるアレマニア通りを西へと歩く。いくつか尾根筋、谷筋を越え、北に港を見下ろすビスマルクの丘の展望台でしばし休憩する。

 広場から東方には、ビーニャデルマルに続く丘を埋め尽くすアパート群が望める。多くが日本でいうリゾートマンションだろう。そしてそのかなたには、アンデス山脈の高峰がそびえていた。方向からいって、南米最高峰(でありアジア以外の最高峰でもある)アコンカグア山(6960メートル)ではないだろうか。

この記事は有料記事です。

残り2530文字(全文2985文字)

藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。