
葬送文化を読み解くには、宗教と埋葬の関係に着目する方法がある。
日本の火葬率は、99.9%。日本は世界一の火葬大国である。一方、カトリック系の諸国では、宗教上の理由から遺体保存にこだわり、火葬率が低い傾向がある。肉体を伴った復活を遂げるために、遺体の保存は重要である。
西欧世界と一部アジアでは、火葬に遺族の立ち会いはなく、収骨もしない。焼骨は、鉄の玉か大理石の玉を入れて砕き、一種の粗みじんにして、骨つぼに入れて引き取られるか、遺族のもとへ郵送される。砂状に砕かれた骨では、復活のイメージとはつながらない。
2015年の火葬研のデータによると、火葬は、イタリアでは18.4%、フランスで34.1%、スペイン41.8%、ベルギーで54.0%程度である。チェコのみ例外的に85.8%と高い数字である。1963年にローマ法王が「火葬した後でも復活には支障がない」と宣言したが、その後も増加する気配はない。
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