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国内屈指の「千町歩地主」新潟で栄えた新発田・市島家

森岡浩・姓氏研究家
福島潟で泥につかりながら刈りいれ後の田打ちをする農民=1953年9月撮影
福島潟で泥につかりながら刈りいれ後の田打ちをする農民=1953年9月撮影

 明治から大正にかけて農地の集約が進み、多数の小作人を抱える大地主が各地に出現した。こうした、自らは農業を営まず小作料収入を生活の基礎とする地主を「寄生地主」といい、多くは商業を営んで豪商としても知られた。

 寄生地主のうち1000町歩(1000ヘクタール)以上の土地を抱える巨大地主のことを特に「千町歩地主」と呼んだ。千町歩地主は新潟県に多く、その中でも最も広大な土地を集積したのが新潟県水原(すいばら、現阿賀野市)の市島家である。今回は、代表的な寄生地主の一家である市島家の発展の歴史と、今を紹介する。

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姓氏研究家

1961年、高知県生まれ。早稲田大学在学中に独学で姓氏研究を始める。文献調査やフィールドワーク、統計を用いた実証的手法を用いる。2017年4月からNHK「人名探究バラエティー 日本人のおなまえっ!」に出演。著書、多数。