藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

「アスンシオン」の街に脆弱な経済と貧富の差を見た

藻谷浩介・地域エコノミスト
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アスンシオン郊外に林立する巨大モールの一つ「パセオ・ラ・ガレリア」。自家用車で来た家族連れでにぎわっていた(写真は筆者撮影)
アスンシオン郊外に林立する巨大モールの一つ「パセオ・ラ・ガレリア」。自家用車で来た家族連れでにぎわっていた(写真は筆者撮影)

 1974年に世界地理の本で読んで以来、いつも頭の片隅にある地名だったアスンシオン。そこで見たのは、途上国的な雑踏が皆無の閑散とした旧市街と、そのすぐ横の河畔に車で乗り付けて憩う中流層らしき人たちの、見事なコントラストだった。何がどうなっているのかを知ろうと、翌日は郊外の新興開発地を目指して歩く。

 その日は日曜日で、都心はなおさら閑散としていた。公園で骨董(こっとう)を売っている露店も暇そうだ。その先に、旧アスンシオン駅が残されていたので寄ってみる。これまたコロニアル調の立派な建物で、小さな博物館になっている。

 筆者が小学校の時に読んだ地理の本には、この駅に止まる薪焚(まきだ)きの蒸気機関車の写真が載っていた。35年にもわたった独裁者ストロエスネル大統領の支配下、当時の経済は停滞していたという。

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。