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「自己都合?会社都合?」明確な退職理由が必要なワケ

井寄奈美・特定社会保険労務士

 A男さん(54)は、従業員数約200人の金属部品加工会社の総務部門の責任者です。先日、工場を退職したB輔さん(27)の離職理由について、ハローワークから問い合わせがあり、困惑しました。

無断欠勤を注意され退職

 B輔さんは半年ほど前に入社し、都心の本社から離れた郊外にある工場に勤務していました。入社直後から遅刻や欠勤が多く、そのたびに現場責任者の工場長が電話をかけたり、B輔さんが住む社宅に様子を見にいったりするなどしていました。

 A男さんは、B輔さんの3カ月の試用期間が終わる前に勤怠状況について報告を受けていました。その上で、工場長に本採用するかどうか聞いたところ、「工場は人が足りない状況です。B輔さんは勤怠状況が悪いが、仕事の覚えは悪くはない。自分が育てたいのでもう少し様子を見させてくれませんか」と言われたので、本採用しました。

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特定社会保険労務士

大阪市出身。2015年、関西大学大学院法学研究科博士前期課程修了。現在、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程在籍中(専攻:労働法)。01年、社会保険労務士資格を取得。会計事務所勤務などを経て06年4月独立開業。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書に『トラブルにならない 小さな会社の女性社員を雇うルール』(日本実業出版社)など。http://www.sr-iyori.com/