
「新潮45」は炎上商法のあげく休刊となってしまったが、これに乗じたまっとうな“商法”で注目なのが、日ごろは目立たない文芸誌だ。
まず新潮社の「新潮」11月号。編集後記で矢野優編集長が、「新潮45」10月号の文芸評論家の小川栄太郎氏の寄稿に差別的表現があると認め、おわびをしたのは新聞記事にもなった。そもそもの杉田水脈衆院議員の「LGBTには生産性がない」とする寄稿への言及がなかったのは物足りなかったが、評価されたようだ。
同号は、作家の高橋源一郎氏による「『文藝評論家』小川栄太郎氏の全著作を読んでおれは泣いた」も緊急掲載。高橋氏はアマゾンで手に入れることができる小川氏の著作をすべて自費で購入。文学を深く愛し「他者性への畏(おそ)れや慮(おもんぱか)りを忘れ」ない「小川栄太郎・A」と「無神経」で「傍若無人」な「小川栄太郎・B」の二つの人格を小川氏の中に見つけた。
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