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「タージマハル」ムガール帝国皇帝が建てた愛妃の墓

長江曜子・聖徳大学教授
タージマハル=2014年12月4日、金子淳撮影
タージマハル=2014年12月4日、金子淳撮影

 イスラム王朝としてインドを統治したムガール帝国の第5代皇帝シャー・ジャハーンは、愛するきさきムムターズ・マハルが1631年に死去した後、美しい廟墓の建設を志し、10年とも20年ともいわれる歳月をかけて、タージマハルを完成させた。

 ヤムナ川右岸に建設された、白大理石の墓(廟)の美しさは、前庭にある水面に映し出されるその墓の全容をもって知ることができる。ジャハーンは、墓の建設に多額の費用がかかったことから、息子に幽閉され、黒の自分の廟を対岸に造ることはかなわず、マハルの地下に眠っている。

 カンボジア、クメール王朝のアンコールワットも、実は王の墓である。また実はイースター島のモアイ像も基壇に勇者の遺骨を入れ、村を守っている墓である。

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聖徳大学教授

1953年茨城県生まれ。加藤組・石匠あづま家社長。明治大大学院・共立女子大大学院博士課程修了。家業の石材店を経営するかたわら、世界45カ国を回りお墓の比較研究を行う。日本における墓地と葬送研究の第一人者として、日本葬送文化学会会長を長く務めた。現在、聖徳大学生涯学習研究所長を務める。「21世紀のお墓はこう変わる」(朝日ソノラマ)、「臨終デザイン」(明治書院)など著書多数。