サイバー攻撃の脅威

出廷できないハッカーたちを米大陪審が起訴した理由

松原実穂子・NTTチーフ・サイバーセキュリティ・ストラテジスト
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 米司法省は2016年3月、米国の金融機関やニューヨーク州のダムに11年から13年にかけてサイバー攻撃を仕掛けた容疑で、イラン在住とみられるイラン人7人をニューヨーク南部地区の大陪審が起訴したと発表した。

 20代から30代のハッカーたちは、イランにあるコンピューター企業2社に勤めていた。この企業は、イラン革命防衛隊などイラン政府機関のためにサイバー攻撃を行ったと米司法省は見ている。

 ハッカーたちは、11年12月ごろから12年9月までの間の176日間にわたり、金融機関など米企業46社にDDoS(ディードス)攻撃を仕掛けた容疑がかけられている。DDoS攻撃とは、大量のデータを送りつけることで過度の負荷をかけ、相手のウェブサイトやサーバーをダウンさせる手法を指す。

 サイバー攻撃が仕掛けられたのは、米国時間の火曜日から木曜日の勤務時間帯中だった。銀行のウェブサイトが一時ダウンし、数十万人の顧客が自分のオンラインアカウントにアクセスできなくなってしまった。司法省によると、金融機関の被害額は、数千万ドル(数十億円)に及んだという。

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松原実穂子

NTTチーフ・サイバーセキュリティ・ストラテジスト

早稲田大学卒業後、防衛省で9年間勤務。フルブライト奨学金により米ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院で修士号取得。その後、米シンクタンク、パシフィックフォーラムCSIS(現パシフィックフォーラム)研究員などを経て現職。国内外で政府、シンクタンクとの意見交換やブログ、カンファレンスを通じた情報発信と提言に取り組む。