藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

侵略され続けた街「ミンスク」で藻谷浩介が思ったこと

藻谷浩介・地域エコノミスト
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ミンスクの都心。ここはいったいどこの国?と思うほど無国籍な近代空間と化している(写真は筆者撮影)
ミンスクの都心。ここはいったいどこの国?と思うほど無国籍な近代空間と化している(写真は筆者撮影)

 現在54歳の筆者が小学生のころ、プラモデルの花形はガンダムではなく戦艦だった。なかでも空母ミンスクと言えば、ウラジオストクが母港の“悪玉・旧ソ連太平洋艦隊”の主力として、日本中の模型マニアが一度は作ったものだ。しかしその名の元となったミンスクは、海も山もなくひたすらに平べったい内陸国・ベラルーシの首都である。欧州最後の独裁国家とも言われるこの地味な国の知られざる首都に、わざわざ行って見えたものと、考えたこと。

 今年(2018年)夏の、画期的だが地味なニュースは、日本ほか79カ国の国民に対し、ベラルーシを短期訪問する際のビザが免除されたことだった。しかし筆者が現地を訪れた当時はまだ、ビザの申請と1週間後の受け取りと、2度も大使館に足を運ぶ必要があった。東京・五反田の高級住宅街にあるベラルーシ大使館はまるで普通の住宅で、他に来客もなく、対応は傲慢ではないが素っ気なく、いかにも「訪問客の少ない国」という感じだったのである。

 2016年8月末。ロシアのカリーニングラード市街を7時間半も歩き回った後の夕方に乗った、ベラビア航空(ベラルーシのフラッグキャリア)のCRJ機(カナダ製小型ジェット機)は、機内は清潔、客室乗務員は丁寧で、わずか1時間だが快適そのものだった。ホームページで簡単に予約し、クレジットカードで支払った運賃は5300円少々と格安だ。

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。