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捏造批判が飛び出した日米「物品貿易協定」の怪しさ

位川一郎・毎日新聞紙面審査委員
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トランプ米大統領の私室がある米ニューヨークのトランプタワーで談笑する安倍晋三首相(左)とトランプ氏=2018年9月23日(内閣広報室提供)
トランプ米大統領の私室がある米ニューヨークのトランプタワーで談笑する安倍晋三首相(左)とトランプ氏=2018年9月23日(内閣広報室提供)

 9月の日米首脳会談で開始が合意された新たな通商交渉に関して、日米両政府の間で呼び名が違うという奇妙な事態が起きています。日本側が使っている「物品貿易協定(TAG)」に対して野党から「捏造(ねつぞう)だ」との批判まで出ました。では、メディアがこの交渉について報道する時には何と呼べばいいのでしょうか。

 交渉では、農産物や自動車などモノ(物品)の関税の引き下げ、撤廃が当面のテーマになると言われています。物品に限定した交渉だから「物品貿易協定(TAG=Trade Agreement on Goods)」なのだ、というのが日本政府の説明です。

 一方、米政府は「TAG」とは呼んでいません。ペンス副大統領は「Free Trade Agreement」(自由貿易協定、FTA)と表現しました。TAGよりもFTAの方が対象範囲が広く、モノに限らずサービスの貿易やルールなども含む市場開放がテーマになります。

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位川一郎

毎日新聞紙面審査委員

 1957年広島県生まれ。東京大経卒。81年埼玉新聞社入社。88年毎日新聞社入社。水戸支局、経済部、総合メディア事業局、地方部などを経て、2004~10年経済部編集委員。国土交通省、農水省、総務省などを担当し、ライブドア騒動、米国産牛肉の輸入再開、公共事業問題などを取材。13年から現職。