藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

西に移動させられた国ポーランド 首都ワルシャワの今

藻谷浩介・地域エコノミスト
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地下化されたワルシャワ中央駅上の広場。スターリン建築と民主化後のビルが林立する(写真は筆者撮影)
地下化されたワルシャワ中央駅上の広場。スターリン建築と民主化後のビルが林立する(写真は筆者撮影)

 36年前、高校の文化祭のディベートで、「史上最大の英雄は誰か」というお題に、「ポーランドで共産党支配に抵抗する自主管理労組『連帯』のワレサ議長だ」というむちゃくちゃな立論で挑んだ筆者たち2年生チーム。3年生を徹底論破したが、理屈倒れが反感を買って判定負けしたのが懐かしい。そのワレサ氏、後の同国大統領も、今では遠い過去の人となった。民主化後四半世紀、ポーランドの首都ワルシャワはどんな感じになっているのか。

 2016年9月1日の午後。筆者はリトアニアのビリニュス空港から、ワルシャワのフレデリック・ショパン国際空港に向かった。所要わずか1時間、平坦(へいたん)な欧州大陸の上を西に飛んだのだが、眼下の光景は、森が多く開発地の少ない景色から、見渡す限り耕地と人家が連なる景色へと、大きく変化した。

 ポーランドは農業生産力が高く、人口も3600万人と、旧ソ連以外の欧州では英、仏、独、伊、スペインという歴史的大国に次ぐ規模である。調べてみると、リトアニアやベラルーシの可住地人口密度が1平方キロ当たり70人台なのに対し、ポーランドは170人台と、1桁上がるのだった。

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。