人生100年時代のライフ&マネー フォロー

「大学教育無償化」でもなかなか減らない家計の負担

渡辺精一・経済プレミア編集部

「無償化」時代の教育費(1)

 教育費は人生の三大支出(教育・住宅・老後)の一角として家計に重くのしかかる。少子化対策として、政府はようやく幼児教育や高等教育の無償化に重い腰を上げはじめた。だが、家計にとって教育費は十数年計画で取り組む事業。足元の環境変化をどう考えるべきなのか。

「すべて私立・理系」なら2579万円

 まず、教育費はどれくらいかかるかを押さえておこう。文部科学省や日本政策金融公庫の調査を基にすると、幼稚園から大学まですべて国公立なら1046万円、すべて私立で大学は理系なら2579万円だ。特に大きいのが大学費用。入学費+授業料の額は、国公立516万円、私立文系688万円、私立理系803万円。まかないきれない家庭も増え、大学生の2人に1人は何らかの奨学金を受けている。

 これは国際的にも異常だ。高等教育への私的負担をみると日本は経済協力開発機構(OECD)加盟国中、英国に次ぐ2位。OECDは「家庭に極めて重い経済的負担を強いる」と日本に改革を促す。

この記事は有料記事です。

残り1443文字(全文1877文字)

経済プレミア編集部

1963年生まれ。一橋大学社会学部卒、86年毎日新聞社入社。大阪社会部・経済部、エコノミスト編集次長、川崎支局長などを経て、2014年から生活報道部で生活経済専門記者。18年4月から現職。ファイナンシャルプランナー資格(CFP認定者、1級FP技能士)も保有。