
ロシアとラトビアに挟まれる人口130万人のエストニアは、IT先進国として知られ、無料通話サービスのスカイプを生んだ国である。行政手続きの99%がオンラインでできる。
エストニアは激動の歴史を歩んでいる。近代だけを見ても、1940年に旧ソ連によって併合され、41年に独ソ戦勃発後はナチス・ドイツに占領された後、44年に旧ソ連に再占領された。独立を回復したのは91年である。
天然資源が少ない小国のエストニアが独立後、生産性向上のために選んだのがITだった。2001年に電子政府化への取り組みが始まった。05年には地方選挙、07年には世界で初めて国政選挙で電子投票を導入した。
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松原実穂子
NTTチーフ・サイバーセキュリティ・ストラテジスト
早稲田大学卒業後、防衛省で9年間勤務。フルブライト奨学金により米ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院で修士号取得。その後、米シンクタンク、パシフィックフォーラムCSIS(現パシフィックフォーラム)研究員などを経て現職。国内外で政府、シンクタンクとの意見交換やブログ、カンファレンスを通じた情報発信と提言に取り組む。