熊野英生の「けいざい新発見」

年金抑えて増税対策でばらまき 安倍政治のチグハグ感

熊野英生・第一生命経済研究所 首席エコノミスト
  • 文字
  • 印刷
 消費増税対策は手厚く。税率引き上げに伴う対策の申し入れ書を安倍首相に手渡す自民党経済成長戦略本部の岸田本部長(左)=根岸基弘撮影
 消費増税対策は手厚く。税率引き上げに伴う対策の申し入れ書を安倍首相に手渡す自民党経済成長戦略本部の岸田本部長(左)=根岸基弘撮影

 消費税率が2019年10月に8%から10%へと引き上げられようとしている。安倍晋三政権は、増税のマイナスインパクトは重視していて、給付金や商品券、クレジットカードのポイントを通じて“減税”をしようとしている。

 実は、あまり議論されていないが、消費拡大に向けて制約になりそうな要因がある。公的年金と物価である。

 19年度の年金支給額は前年比で0%の伸びに据え置かれるかもしれない。もしくは伸びても小幅のプラスだろう。

 19年4月からの年金支給額の伸び率は、物価賃金変動率とマクロ経済スライドの調整によって決まる。18年1~10月の消費者物価指数(総合)の伸び率は前年比1.1%である(残る11月と12月の物価水準が10月と同じとして計算すると年1.0%)。この上昇率などから、マクロ経済スライドのマイナス分が差し引かれて、19年4月からの公的年金支給額の伸び率が決まる。

この記事は有料記事です。

残り1066文字(全文1451文字)

熊野英生

第一生命経済研究所 首席エコノミスト

1967年山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。90年、日本銀行入行。調査統計局などを経て、2000年、第一生命経済研究所入社。11年4月から現職。専門は金融政策、財政政策、金融市場、経済統計。