藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

ベルリンで藻谷氏が見た「ナチスの忌まわしい記憶」

藻谷浩介・地域エコノミスト
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「虐殺されたヨーロッパのユダヤ人のための記念碑」は慰霊碑であるとともに現代アートのマスターピースでもある(写真は筆者撮影)
「虐殺されたヨーロッパのユダヤ人のための記念碑」は慰霊碑であるとともに現代アートのマスターピースでもある(写真は筆者撮影)

 28年ぶりに訪れたベルリンは、ドイツの首都らしく堂々とした、しかしどこか人影が少なく人工的な雰囲気の漂う都会となっていた。都心の公園の一角に、ナチスに虐殺されたロマなどの犠牲者の慰霊碑を見つけ、おぞましい過去と、それに正面から向き合う姿勢に思いを致す筆者。さらにその先には……。

 ブランデンブルク門からしばらく南に進むと、100メートル四方ほどの広場が現れた。長方形のコンクリート製の柱が碁盤の目のように、前後左右等間隔に林立しており、その間は人一人が歩ける幅になっている。これが有名な「虐殺された欧州のユダヤ人のための記念碑」だった。

 コンクリート柱は見上げるほど高いところもあれば、足首ほどの高さのところもあり、間の通路を大勢の人が歩いたり、自転車に乗って入って行ったりしている。筆者もしばし分け入って前後左右に歩いてみた。途中で思わず立ち止まって、何かしらもの思いにふけるような構造になっているとも言えるし、子供などにとっては絶好のかくれんぼの場所にも見える。

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。