
子どもの貧困に象徴される格差問題に対する取り組みの機運が、銀行業界に芽生え始めている。格差拡大という深刻な社会構造のなかでの銀行の存在意義が再確認できる動きとして、今後の具体化が注目される。
「銀行業界に変化を起こしたい」
藤原弘治・全国銀行協会会長(みずほ銀行頭取)は12月13日の定例記者会見で「日本の格差の現状は厳しく、日本の相対的貧困率は経済協力開発機構(OECD)の平均より高い」と指摘し、「この問題から目を背けてはいけない。格差問題に対して、銀行業界に変化を起こすべく努力している」と述べた。全銀協会長が貧困問題にここまで踏み込んだ発言をしたのは初めてだろう。
藤原会長は具体的な取り組みとして「地域金融機関のなかには、一人親、または両親のいない高校生の奨学金支援を行っている事例などがあり、今後、会員銀行に周知していく予定だ」と話した。さらに「たとえば、子ども食堂など生活支援を行うNPO法人等の団体との連携など活動の裾野拡大も検討している」と述べた。
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