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激しさ増す「米中対立」のはざまで日本の選択肢は何か

熊野英生・第一生命経済研究所 首席エコノミスト
 
 

 米中関係は、いよいよ抜き差しならない領域へと入ってきた。中国企業ファーウェイの副会長逮捕は、氷山の一角に過ぎない。問題は、米国が同盟国に露骨に中国製の通信機器を採用しないように働きかけを始めたことだ。日本政府は、次世代通信5Gの基地局に中国企業の製品を使用しない方針を申し合わせた。

 こうした動きは、トランプ大統領が、中国が国際的なシェア拡大を目指す「中国製造2025」を問題視していることが背景にある。ただ、問題視している事柄が、米中貿易不均衡よりも安全保障上の脅威を念頭に置いているところが今までと違っている。

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第一生命経済研究所 首席エコノミスト

1967年山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。90年、日本銀行入行。調査統計局などを経て、2000年、第一生命経済研究所入社。11年4月から現職。専門は金融政策、財政政策、金融市場、経済統計。