高齢化時代の相続税対策 フォロー

相続対策でマンション買い直し 米国在住70歳の勘違い

広田龍介・税理士
 
 

 元商社マンのMさん(70)は米国生活がもう35年になる。米国駐在のまま、会社は60歳で退職したが、独立起業してさらに10年間頑張ってきた。引退が頭をよぎるが、もう日本に戻る気持ちはない。

介護施設に入る母と「家族信託」

 一人っ子のMさんにとって、日本にいる両親のことはずっと気がかりだった。しかし、父親は15年前に亡くなり、今年になり、母親も90歳で亡くなった。

 15年前に父親が残した財産は東京都港区の200平方メートルの自宅と現預金で、母親がすべてを相続した。同居家族の相続税を軽減する「特定居住用の小規模宅地の特例」や、配偶者には1億6000万円まで非課税になる特例があり、相続税はゼロだった。

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税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。