京都市伏見区の京阪本線中書島(ちゅうしょじま)駅から歩いて北に5分ほどのところに「月桂冠大倉記念館」がある。明治42(1909)年建造の酒蔵を活用した建物で、この中で月桂冠の酒造りの歴史を見ることができる。「大倉」というのは、月桂冠を経営する一族だ。
祖は藤原の一族
大倉家の歴史は古い。平成11(1999)年に刊行された「月桂冠資料集」の冒頭に「大倉氏世系之図」が収められている。これによると、藤原北家魚名(うおな)流の一族で、平安時代後期に藤原為経(ためつね)が源義朝(頼朝の父)に仕えて相模国鎌倉郡大倉荘(神奈川県鎌倉市)に住んで大倉氏を称したのが祖とある。
為経は平治の乱で源義朝に従って京都で戦死した。その後、大倉氏は室町時代に大和国(奈良県)で十市(とおち)氏に仕え、応仁の乱(1467~77年)で細川勝元の下で軍功をあげたことから山城国笠置(かさぎ)荘(京都府笠置町)の地頭職を賜り、さらに天正14(1586)年に大倉隆益が、領主の筒井定次から500石を賜って笠置に住んだのが笠置の大倉家の始まりである。
この記事は有料記事です。
残り1270文字(全文1729文字)
投稿にはログインが必要です。
注目コンテンツ