
2011年11月の夜、ニュージーランドの大手救急車サービス会社のシステムがコンピューターウイルスに感染し、ダウンした。この会社はニュージーランドの人口90%をカバーしていた。
コールセンターは、オークランド、ウェリントン、クライストチャーチにあり、救急車を依頼する電話を年間1万件以上受ける。通常、救急車に搭載された携帯情報端末を使って、運転手に場所や状況を連絡するが、自動対応システムがウイルスに感染し、それが2日間できなくなった。このため、手動のバックアップ体制に切り替え、運転手への直接の電話で対応した。
同社の救急車通信運用部長によると、アンチウイルスソフトで一部のシステムは守ることができた。しかし、呼び出し装置と無線通信装置に影響が出てしまったという。
この記事は有料記事です。
残り846文字(全文1179文字)
投稿にはログインが必要です。
松原実穂子
NTTチーフ・サイバーセキュリティ・ストラテジスト
早稲田大学卒業後、防衛省で9年間勤務。フルブライト奨学金により米ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院で修士号取得。その後、米シンクタンク、パシフィックフォーラムCSIS(現パシフィックフォーラム)研究員などを経て現職。国内外で政府、シンクタンクとの意見交換やブログ、カンファレンスを通じた情報発信と提言に取り組む。