
中国・マカオ編(2)
「南欧が中国化した」ような感じのマカオの旧市街地。迷路状の街路の両側に、老朽化した中層ビルが密集する。ポルトガルワインとともに「南欧風中華料理?」をゆっくり賞味してから、街歩きを再開した。
前面の壁だけの教会にザビエルが眠る
数分歩くと、聖ドミニコ広場に出た。目の前に、1587年に着工されたという聖ドミニコ教会がある。2005年に世界歴史遺産に登録された22の建造物と八つの広場の中でも、よく写真で見るランドマークだ。レモンイエローのしっくいで塗られたファサード(建物の正面)、白が基調の建物内、いずれにもラテン系の優れた美意識が表れている。
ドミニコ会は13世紀にイタリアで結成された修道士会で、16世紀にはイエズス会とともに、アジアや新大陸での布教を競っていた。マカオでこの聖堂を建てたのは、メキシコから来た3人の修道士だったという。当時スペインは、アフリカの喜望峰回りではなく大西洋-メキシコ-太平洋経由でフィリピンと欧州の連絡を取っていたのだ。
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藻谷浩介
地域エコノミスト
1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。