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遅刻常習バイトを解雇 コンビニ店長が払った“代償”

井寄奈美・特定社会保険労務士
 
 

 A郎さん(36)はコンビニエンスストアの店長です。1カ月前にアルバイトで採用した高校生のB子さん(17)の遅刻や欠勤が多かったり、勤務態度があまりに悪かったりしたため、「もう来なくてもいい」と伝えました。すると後日、B子さんの母から娘のバイト代を上回る金額の解雇予告手当を請求され、驚きました。

バイトに「もう来なくていい」

 A郎さんは、B子さんを平日は午後5時から8時までの3時間勤務で週2日程度、土曜日は午前8時から午後5時の間に6時間程度勤務する約束で採用しました。同店はA郎さんの他、バイトやパートが約15人いて、時間帯によって2~5人のスタッフが働いています。人件費抑制のため、シフトは必要最小限の人数で組んでいました。

 B子さんは勤務初日から遅刻してきました。「スマホを自宅に忘れて取りに戻った」という理由でした。さらに、無断欠勤もありました。A郎さんは、勤務時間になっても来ないB子さんのスマホに連絡しました。しかし電話はつながらず、後になって折り返しがあり、「バイトのことを忘れていた」「学校で補講を受けていた」などと言われるので、その都度、遅刻や欠勤をしない、やむを得ない事情のときも勤務開始前に連絡するよう注意…

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特定社会保険労務士

大阪市出身。2015年、関西大学大学院法学研究科博士前期課程修了。現在、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程在籍中(専攻:労働法)。01年、社会保険労務士資格を取得。会計事務所勤務などを経て06年4月独立開業。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書に『トラブルにならない 小さな会社の女性社員を雇うルール』(日本実業出版社)など。http://www.sr-iyori.com/