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水戸信金・京都信金の「地銀とひと味違う」取り組み

エコノミスト編集部
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オリガミとの提携について説明する信金中央金庫の須藤浩専務理事(信金中央金庫提供)
オリガミとの提携について説明する信金中央金庫の須藤浩専務理事(信金中央金庫提供)

 各地の信用金庫や信用組合が元気だ。今、力を入れるのがキャッシュレス決済の地域への普及やベンチャーの起業支援。その最前線を追うと、株式会社である地銀とはひと味もふた味も違うパワーに満ちあふれていた。週刊エコノミスト2月5日号の巻頭特集「地銀に負けない信金・信組」よりダイジェストでお届けする。

信金中央金庫がオリガミペイと提携

 キャッシュレス決済は現在、さまざまな事業者がスマートフォンを活用した二次元コード(QRコード)決済のサービスに乗り出している。しかし、信金・信組の取引先が多い地域の商店や飲食店など小規模な事業者には、こうした新サービスの導入には負担が重い。

 そこで、信用金庫のセントラルバンクである信金中央金庫は2018年9月、スマートフォンを使ったQRコード決済「Origami Pay」(オリガミペイ)を展開するOrigami(オリガミ)と業務提携を発表。全国の信用金庫の取引先向けにキャッシュレス決済の普及を支援する狙いだ。

 「日本三名園」の一つに数えられる水戸市の偕楽園。ここで毎年春に開かれる「水戸の梅まつり」は、毎年50万人の観光客が訪れる。今年は2月16日~3月末の梅まつりの期間中、水戸市内でオリガミペイを使ったキャッシュレス決済の実証事業が始まる。茨城県は今年1月、オリガミと連携協定を結び、その先行的な取り組みとして実証事業を位置づける。

QRコード決済で半額クーポン発行

 梅まつりを舞台にした実証事業の話が湧き上がったのは昨年末のことだ。地元を営業区域とする水戸信用金庫(水戸市)の職員は今、大慌てで市街地の小売店や飲食店などを駆けずり回り、オリガミペイの導入を呼び掛けている。

 水戸市内は、首都圏や他の地方都市と比べても、決してキャッシュレスが進んでいるほうではない。JR水戸駅前でタクシーをつかまえても、現金払いにしか対応していないほか、スイカやパスモといった交通系ICカードに対応していないバスもある。

 水戸信金や県はスマホ決済の導入を機に、偕楽園からバスで約20分離れた水戸の繁華街への送客を進めるなど街の回遊性を高めることができれば、祭りのにぎわいを地元の経済発展に生かすことができるはず、と考えている。

 水戸信金の職員は、街の小売店や飲食店などに対し、QRコード決済時に代金が半額になるクーポンを発行するなど、梅まつりと連動したキャンペーンを説明。キャンペーンが終了した後も、キャッシュレス導入で国内外からの観光客を中心に新しい顧客を獲得できるメリットを説く。

 信金中金総合企画部の宮崎崇デジタルイノベーション推進室長は「オリガミペイは、無料で始められ、決済手数料は業界最低水準で地方の中小企業が導入しやすい。さらに、地元で収集したデータを活用しやすい仕組みなので、中小企業の売り上げ増に生かせることが大きい」と提携の背景を説明する。

 全国の260の信用金庫のうち、250金庫がオリガミペイの活用を申し込んでおり(1月23日現在)、今後も地元の信用金庫が中心となり、加盟店拡大を加速させる見通しだ。

京都信金は投資ファンドと起業支援

 信金・信組の取引先である中小企業が抱える最大の課題は、廃業や解散の増加傾向に歯止めがかからないこと。信金・信組が今、ベンチャー起業支援に力を入れるのは、こうした状況を反転させるのが狙いだ。

社会貢献について考えるイベントに参加するため「とびら」に集った参加者と夢びとの中田俊社長(前列右から4人目)
社会貢献について考えるイベントに参加するため「とびら」に集った参加者と夢びとの中田俊社長(前列右から4人目)

 信金業界の中で注目を集めているのが、京都信用金庫(京都市)が、同じく京都市に本社のある独立系ベンチャー投資ファンドと共同で18年8月に初めて設立した「イノベーションC投資事業有限責任組合」だ。

 このファンドは、京都府を中心とした京都信金の営業エリア内で、独創的な技術、サービスやビジネスモデルにより地域経済の活性化に貢献できる未上場企業へファンド資金を提供する。

 京都信金は18年12月21日、ファンドが投資する第1号案件を発表した。生物情報アプリを手がけるバイオーム、大学など研究機関のシーズのビジネス化を後押しする産学連携研究所、コワーキングスペース(独立した複数の会社が空間を共有しながら働く場)を運営する夢びと(いずれも本社は京都市)というユニークな3社だ。

 京都信金価値創造統括部の高岸達哉部長は「3社の中で、異色だったのは夢びとだ」という。企業の成長によるリターンを期待するだけでなく、「共創を生み出す場所を活性化してもらい、ベンチャー企業や社会起業家を生み出す原動力になってもらいたい」という期待を込めている。

 夢びとは、京都市内のオフィスビルに、コワーキングスペースや、学びの場としても使える「とびら」を18年4月にオープンした。社会貢献に積極的な全国の中小企業の経営者や、社会課題の解決に取り組むNPO・NGOの代表らを講師に招く。

 信金・信組がこれからの地域経済の命運を握っているといっても過言ではない。

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 この記事は、週刊エコノミスト2月5号の巻頭特集「地銀に負けない信金・信組」をウェブ用に編集したものです。連載「週刊エコノミスト・トップストーリー」は原則、毎週水曜日に掲載します。

 
 

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エコノミスト編集部

藤枝克治編集長率いる経済分野を中心として取材、編集するチーム。経済だけでなく社会、外交も含め幅広く取材する記者の集団であり、各界の専門家にコラムや情報提供を依頼する編集者の集団でもある。