藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

南アを車で爆走して気づいた旧黒人居住区の“階層”

藻谷浩介・地域エコノミスト
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キャンデブー国立公園にいた野生のダチョウの群れ(写真は筆者撮影)
キャンデブー国立公園にいた野生のダチョウの群れ(写真は筆者撮影)

 アフリカ大陸最南端・アグラス岬から北東方向の内陸へと、600キロ近くを7時間半で疾走し、グラーフライネの町に着いた筆者と長男。オランダ系白人(ボーア人)の建設した瀟洒(しょうしゃ)な街並みの中にある、昔の豪商の邸宅を改装したB&B(ベッド・アンド・ブレックファスト)でしばしくつろぐ。この宿のマネジャーは、キリッとした若い黒人女性だった。

 翌朝も快晴。シックな食堂でおいしい朝食をいただいた後、30分ほどグラーフライネの市街を歩いて、おしゃれな土産物屋もあるオランダ風の街並みを見物する。ここは緯度でいえば宮崎県くらいなのだが、標高800メートル弱の高原だけに、日本でいえば2月初旬にあたるこの時期(訪れたのは2018年8月)、さすがに冷え込みが厳しい。

 しかし街路には、手持ち無沙汰そうな失業者と思われる人たちが、そこここにたむろしていた。彼らは別に危害を加えてくるわけではなく、黙って通り過ぎれば実害はない。だが彼ら自身は、どのようにして日々食事にありついて、これからどのような人生をたどるのだろうか。

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。