
日立製作所が1月17日、英国で計画していた原子力発電所の新設事業の凍結を決めました。これを受けた翌18日の世耕弘成経済産業相の発言には驚きました。計画の「失敗」を認めなかったからです。原発輸出の旗を振った政府の責任についての言及も反省の弁も、一切ありませんでした。
「民間企業として限界」
計画は、日立が子会社を通じて英中部アングルシー島に原発2基を建設し、2020年代半ばの運転開始を目指すものでした。
しかし、安全対策費などで事業費が3兆円規模に膨らんだうえ、リスク分散のために期待していた日本企業からの出資もうまく集まらず、凍結を決断。約3000億円の損失を計上する予定だといいます。日立の東原敏昭社長は記者会見で、「民間企業として、これ以上の投資は限界」と語りました。
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位川一郎
毎日新聞紙面審査委員
1957年広島県生まれ。東京大経卒。81年埼玉新聞社入社。88年毎日新聞社入社。水戸支局、経済部、総合メディア事業局、地方部などを経て、2004~10年経済部編集委員。国土交通省、農水省、総務省などを担当し、ライブドア騒動、米国産牛肉の輸入再開、公共事業問題などを取材。13年から現職。