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「中国でスマホ苦戦」アップル失速で日本企業に大打撃

エコノミスト編集部
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中国でスマホが減速
中国でスマホが減速

 米中貿易戦争に端を発したマクロ経済の変調と中国経済の減速がスマートフォン(スマホ)の雄、米アップルの業績を直撃している。スマホ関連部品や設備を供給する日本企業も、業績予想の見直しを迫られている。週刊エコノミスト2月12日号よりお届けする。

中国でiPhoneが苦戦

 米中貿易戦争に端を発したマクロ経済の変調と中国経済の減速がスマートフォン(スマホ)の雄、米アップルの業績を直撃している。

 アップルの2018年10~12月期(第1四半期)決算は、売上高が前年同期比5%減の843億1000万ドル(約9兆2200億円)で、9四半期ぶりに前年実績を下回った。世界最大のスマホ市場の中国で、主力の「アイフォーン」の販売が苦戦しているからだ。

 アップルの地域別の売上高を見ると、香港、台湾を含む「中華圏」が6四半期ぶりに減少に転じ、前年同期比27%減の132億ドルにとどまった。中華圏以外の地域の売上高の合計は微増だった。また、製品別でも、アイフォーンの売上高は520億ドルと15%落ち込んでいる。

 
 

 さらに、アップルは19年1~3月期も前年同期比で減収を予想する。売上高は前年同期比3~10%減の550億~590億ドルを見込む。

 ティム・クック最高経営責任者(CEO)は「われわれは会社を長期視点で運営している」との声明を出したが、市場ではスマホ市場の回復には時間がかかるとの見方が出てきた。

日本企業の受注が急減

 中国経済の減速の影響を受けたのは、アップルだけではない。スマホ関連部品や設備を供給する日本企業も、業績予想の見直しを迫られている。

 TDKは18年10月、上半期の好調な電子部品の受注状況を受けて、19年3月期の連結業績見通しを上方修正した。

 ところが、翌11月には中国経済の減速で、スマホ向け電子部品の需給が一気に悪化。10~12月期の決算発表では、通期の業績見通しを一転して下方修正する事態になった。具体的には、連結売上高は500億円減額して1兆3700億円、営業利益は100億円減額して1100億円に修正した。

 TDKの山西哲司常務執行役員は「18年11月ごろからの受注の減少は急だった。第2四半期(18年7~9月期)の月ベースで比較すると、12月の受注は3割減で、これだけ短期間に大きく変化するとは……」と驚きを隠さない。

 山西氏は「スマホ市場はすでに成熟しており、大きく回復していくとは考えていないが、この数カ月の落ち込みがこの後も同じペースで続くとも考えていない。一部在庫調整が終わったとの見方もあり、当面は様子を見たい」と話す。

決算発表するTDKの山西哲司常務執行役員
決算発表するTDKの山西哲司常務執行役員

 シャープも18年10月に上方修正していた19年3月期の通期連結業績予想の見直しを迫られた。売上高は2兆5000億円(従来予想から1900億円減額)、営業利益は1070億円(同50億円減額)に修正。スマホ用のセンサー、カメラ、パネルの販売減が影響した。

 今後について野村勝明副社長は、「スマホは、これまでのような買い替え需要の盛り上がりは期待できず、成長は緩やかなものにとどまるだろう」と予想する。

 アルプス電気とアルパインが19年1月1日付で経営統合して発足したアルプスアルパインは、スマホ向けカメラ部品がスマホ販売減速の影響を受けたほか、タッチパネルも顧客の内製化のあおりで、電子部品事業が落ち込んだ。19年3月期の連結最終(当期)利益は従来予想より190億円減額し、240億円になる見通し。

5Gにけん引役を期待

 中国市場では米中貿易戦争の影響とは別に、17年の秋に行われた金融引き締め政策をきっかけに、EMS(製造受託会社)を中心に新規の投資が鈍っているという。その影響を受けた安川電機は、製造装置向けのサーボモーターの需要が中国で減速し、19年2月期の連結売上高の見通しを4820億円(従来予測は4980億円)に下方修正した。

 中国のスマホ市場は世界の約3割を占める巨大市場だが、10年以降の普及が一服し、17年は前年比で2桁減になるなど、市場の飽和感が強まっている。中国でのスマホ関連への投資が回復するのは、第5世代(5G)移動通信システムが登場すると予測される19年後半までかかるとの見方も出ている。

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 この記事は、週刊エコノミスト2月12号の記事をウェブ用に編集したものです。連載「週刊エコノミスト・トップストーリー」は原則、毎週水曜日に掲載します。

週刊エコノミスト2月12号

 
 

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藤枝克治編集長率いる経済分野を中心として取材、編集するチーム。経済だけでなく社会、外交も含め幅広く取材する記者の集団であり、各界の専門家にコラムや情報提供を依頼する編集者の集団でもある。