
銀行が変革の時代を迎えていることはいまさら言うまでもない。しかし、そのような言葉がマスコミをにぎわしている割には、銀行業界で実際に大きな変化が起きているとは言いがたい。それにはさまざまな原因があるだろうが、今回は、銀行と監督官庁との間の二つの「勘違い」を取り上げる。
第一の勘違いは規制緩和をめぐるものだ。金融業界では官庁への規制緩和要望の提出が毎年の恒例行事となっている。既存の法令の枠組みを超えて新たなビジネスに挑むには、規制緩和が欠かせない。銀行業界は毎年、金融庁に対して多種多様な規制緩和要望を提出している。
そのひとつが不動産に関わる兼業規制だ。銀行は不動産仲介業の兼業が禁止されている。銀行が不動産仲介に乗り出すと、影響力が絶大になりかねないからだ。そうしたなか、銀行は自己保有する不動産を有効活用する観点から規制の見直しを求め続けてきた。
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