藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

南アに囲まれた「レソト王国」入国直前まさかの撤退

藻谷浩介・地域エコノミスト
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荒野の中の一軒宿でもてなしてくれた夫婦。彼らはアフリカーナー(オランダ系白人)だった(写真は筆者撮影)
荒野の中の一軒宿でもてなしてくれた夫婦。彼らはアフリカーナー(オランダ系白人)だった(写真は筆者撮影)

南アフリカ編(6)

 南アフリカに囲まれた小さな王国レソトに最も近い田舎町レディブランドまで、700キロ近くを1日で走ってきた筆者と長男。レソト国境までは国道8号であと十数キロ。いてついた朝に、ゆるやかに起伏する丘陵地を走る。

レソトの首都マセルはすぐそこに

 レソトと南アフリカの国境の西北部分は、曲がりくねるモホケア川だ。川幅自体は十数メートルしかなく、その上に架かる橋の両側にゲートがあって、国境管理が行われている。ゲートに向けた最後の下り坂で、国境の向こう数キロのところにあるレソトの首都マセルが遠望できた。

 ゲートの手前では、ボロボロの線路が踏切もなく道路を横切っている。マセルに向かう貨物線で、後日聞いた…

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外105カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。