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日本経済の活性化には中小企業の「輸出支援」が必要

熊野英生・第一生命経済研究所 首席エコノミスト
輸出が日本経済のカギに
輸出が日本経済のカギに

 日本経済の力量を十分に発揮し切っていない“伸び代”として、中小・中堅企業がある。特に輸出は、開拓できていない状態に近いのではないか。中小・中堅企業がもっと輸出力をつければ、企業収益や雇用、設備投資などを増やせる可能性は高い。

内需は低迷しても外需は堅調

 日本の人口が減少して内需が弱くなっても、海外経済は現在も3%成長している。過去、1980年代から一本調子に伸びてきたのは輸出(正確に言えば輸出入ともに)である。バブル崩壊後、90年代、2000年代、そして08年のリーマン・ショック以降も一貫して、日本経済を引っぱる力として、外需は需要低迷を脱する糸口であった。

 しかし、その外需という成長エンジンにアクセスできたのは、もっぱら「大企業・製造業」であった。17年度実績でみると、輸出の9割は大企業・製造業である。中堅企業は5.3%、中小企業は4.6%とごく少ない。つまり中小・中堅企業は、成長する外需から取り残されてきた感がある。

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第一生命経済研究所 首席エコノミスト

1967年山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。90年、日本銀行入行。調査統計局などを経て、2000年、第一生命経済研究所入社。11年4月から現職。専門は金融政策、財政政策、金融市場、経済統計。