
私は若いころ、ITエンジニアとして入社した会社で突然、営業部に配属されたことがあります。その際、研修も兼ねて、新規顧客へのパソコンの売り込みを命じられました。飛び込み営業です。上司からは「営業はお客様の立場に立つことが大切」などとアドバイスされました。
「売ろうと考えずに商談する」
実際、3カ月ほどパソコンの飛び込み営業をしましたが、何のコネもなく会社を訪問しては追い返される日々でした。同世代の若手数十人を集められ、こうした研修が課せられましたが、成果を出せる人はほとんどいませんでした。ところが、たった1人だけ、2カ月で2社から数百台の受注を得た同僚がいました。
当然「なぜそんなに売れるのか」と部署内で話題となり、彼から秘訣(ひけつ)を聞きだそうとする人もいました。彼が繰り返し言っていたのは「パソコンの話をせず、売ろうと考えずに商談する」ということでした。
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細川義洋
ITコンサルタント
1964年、神奈川県生まれ、立教大学経済学部経済学科卒。NECソフト(現NECソリューションイノベータ)、日本IBMでシステム開発やコンサルティングを行う。著書に「なぜ、システム開発は必ずモメるのか?」「IT専門調停委員が教える モメないプロジェクト管理77の鉄則」(日本実業出版社)などがある。