名家のルーツ

名古屋の和菓子老舗「両口屋是清」に残る伝統と革新

森岡浩・姓氏研究家
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白と薄紅の半球を合わせた小さな玉を一つずつ和紙でくるんだ干菓子「二人静(ににんしずか)」=2019年2月19日、田中学撮影
白と薄紅の半球を合わせた小さな玉を一つずつ和紙でくるんだ干菓子「二人静(ににんしずか)」=2019年2月19日、田中学撮影

 名古屋城正門前の金シャチ横丁に平成30(2018)年3月、和カフェ「那古野茶屋(なごのちゃや)」がオープンした。スイーツだけでなく、つけ麺、丼、すしといった食事メニューもあり、土産も販売する名古屋城の新しい観光スポットとして注目されている。この「那古野茶屋」をプロデュースするのが、名古屋市に本社を置く和菓子の老舗「両口屋是清(りょうぐちやこれきよ)」だ。

 両口屋是清は、寛永11(1634)年に初代の猿屋三郎右衛門が大坂から名古屋城下の上本町に転じてまんじゅうづくりを始めたのが祖である。寛文11(1671)年、2代目の三郎兵衛が尾張藩の御用菓子商となり、貞享3(1686)年には尾張藩主の徳川光友より直筆の「御菓子所 両口屋是清」の表看板を賜った。元禄3(1690)年、三郎兵衛は実名を「是清」と改めたが、歴代当主のうち是清と名乗ったのはこの2代目のみである。

 3代目喜郎が当主だった享保6(1721)年には、金銀や調度品の出納を行う藩の納戸役御用を両口屋だけで務めるようになるなど尾張藩を代表する菓子商に成長した。このころには他藩から菓子を買いに来る客もいたという。

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森岡浩

姓氏研究家

1961年、高知県生まれ。早稲田大学在学中に独学で姓氏研究を始める。文献調査やフィールドワーク、統計を用いた実証的手法を用いる。2017年4月からNHK「人名探究バラエティー 日本人のおなまえっ!」に出演。著書、多数。