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キャッシュレス戦国時代「チャージしすぎ」にご用心

エコノミスト編集部
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屋台でも気軽に使われる日が来るのか(福岡県で行われた実証実験、2018年8月)
屋台でも気軽に使われる日が来るのか(福岡県で行われた実証実験、2018年8月)

 キャッシュレス決済サービスは“戦国時代”さながらの様相だ。利用者にとっては大規模な還元キャンペーンが魅力に映るが、どんな基準でサービスを選べばいいのか。週刊エコノミスト2月26日号の巻頭特集「キャッシュレス徹底活用術」よりダイジェストでお届けする。

メルカリの売上金でモバイル決済

 先行していたのは非接触ICを使った決済サービスだが、最近は後発のバーコードやQRコード(二次元コード)による決済(以下コード決済)サービスにさまざまな事業者が参入し、大規模な利用者還元キャンペーンを展開。非接触ICも利用者増に向けて急速に巻き返しており、激しいサービス競争を繰り広げている。

 フリーマーケットアプリ大手メルカリの子会社、メルペイは2月13日から、同社のスマートフォン決済サービス「メルペイ」を、NTTドコモが展開する非接触IC決済サービス「iD」で使えるようにした。

ペイペイの決済
ペイペイの決済

 メルカリでは利用者が商品を販売した際の売上金は、メルカリの中で再び商品を買ったり、指定の銀行に払い出す以外、一般の店舗などでは使うことができなかった。今回のサービス開始により、売上金を使える範囲が格段に広がることになる。メルカリの国内の月間利用者数は1000万人を超え、iDの利用拡大には大きな追い風だ。

 また、コード決済の「楽天ペイ」と非接触ICの「楽天Edy」という、二つの決済サービスを展開している楽天は2月12日、楽天ペイや楽天Edyだけでなく、ポイント付与サービス「楽天スーパーポイント」や電子マネー「楽天キャッシュ」による決済も一つのアプリで可能とする、新たな楽天ペイアプリの提供を3月18日から始めると発表した。複雑で分かりにくかった決済サービスをひとまとめにし、利用者を囲い込む戦略の一環といえそうだ。

口火を切ったペイペイは100億円の第2弾

 業界入り乱れての利用者獲得競争は終わりが見えない。ソフトバンクとヤフーによるコード決済サービス「ペイペイ」は2月12日、利用者に総額100億円分のポイントを還元する「100億円キャンペーン」の第2弾を開始。独立系のオリガミが展開する「オリガミペイ」も翌13日から、一部のケンタッキーフライドチキン店舗で購入額が半額になるキャンペーンで迎え撃った。

LINEペイの決済
LINEペイの決済

 精算方法を拡大して新たな利用者の取り込みを図ろうとするのが、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のLINEが手がけるコード決済サービス「LINEペイ」だ。LINEペイは現在、現金や銀行口座から事前にチャージ(前払い)したうえで、店頭で使う方法を採用している。

 ここに、後払いとなるVisaブランドのクレジットカード決済を導入する予定で、大きな方針転換ともなる。クレジットカードには利用額に応じたポイント付与サービスがあり、LINEペイの使用で付与するLINEポイントに上乗せできるようにして、利用者への還元を高めたいという思惑もありそうだ。

有効期限切れには注意

 利用者にとってサービス競争は大きな魅力に映るが、気を付けたいのは、特に前払い方式のキャッシュレス決済サービスへの「チャージのし過ぎ」だ。数々のキャッシュレス決済サービスは一見、現金を電子マネーに変えて決済するという意味では共通だ。

 しかし、特に前払い方式の場合、原則として現金に払い戻せないタイプと、現金に払い戻すことが可能なタイプの電子マネーがある。背景にある法規制が異なっているためだ。

 現金に払い戻せないタイプは、事業者が資金決済法の「前払い式支払い手段」の発行者として発行する電子マネーで、払い戻せるのは同じく資金決済法の「資金移動業者」として発行する電子マネーだ。前者が利用者から受け取った金額の2分の1を保全することが必要なのに対し、後者は100%を求められるなど、規制の内容は資金移動業者がより厳しくなっている。

ペイペイのQRコードを示すタクシーの運転手(松山市)
ペイペイのQRコードを示すタクシーの運転手(松山市)

 ただ、さまざまなキャッシュレス決済事業者のホームページなどを見ても、どのサービスが払い戻し可能なのか、払い戻しできないのか、違いが分かりやすく表示されているところは少ない。

 また、前払い式支払い手段として発行される電子マネーは、ペイペイはペイペイ残高が最後に増減した日から2年、LINEペイが5年などと、有効期限が決められている。大規模な利用者への還元キャンペーンにつられて、うっかりチャージをし過ぎてしまうことはありうる。

 後から現金として払い戻せないことに気付き、電子マネーの残高を減らすために必要もない消費を重ねるようでは本末転倒だ。特に前払いの場合は、チャージする電子マネーの種類をしっかりと確かめたい。

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 この記事は、週刊エコノミスト2月26号の巻頭特集「キャッシュレス徹底活用術」をウェブ用に編集したものです。連載「週刊エコノミスト・トップストーリー」は原則、毎週水曜日に掲載します。

週刊エコノミスト2月26号

 
 

エコノミスト編集部

藤枝克治編集長率いる経済分野を中心として取材、編集するチーム。経済だけでなく社会、外交も含め幅広く取材する記者の集団であり、各界の専門家にコラムや情報提供を依頼する編集者の集団でもある。