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一日延期のドタバタ決算発表 崖っぷちの大塚家具

エコノミスト編集部
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大塚家具の大塚久美子社長=東京都内で2016年9月、浜中慎哉撮影
大塚家具の大塚久美子社長=東京都内で2016年9月、浜中慎哉撮影

 3期連続赤字の大塚家具。創業者である実父との経営主導権争いで勝利した大塚久美子社長だが、異例の「記者会見なし」の決算発表を迫られた。その舞台裏とは。週刊エコノミスト3月5日号よりお届けする。

増資と業務提携を発表

 「1年前の決算会見で、黒字化が自分の責務と大見えを切ったから、赤字の上に“手ぶら”では、会見できなかったのだろう」。大塚家具の元社員は、決算資料のみの開示という古巣の決算発表をこう解釈する。

 予定日の1日延期に加えて、社長会見や記者を集めたレクチャーなしの「大塚家具2018年12月期決算発表」。同期で3期連続の最終赤字(32億円の赤字)。経営再建中で、2月15日の決算発表に合わせて、日中の取引先企業連合と米投資ファンドを引受先とする約38億円の増資とヤマダ電機との業務提携を公表したにもかかわらずだ。

 大塚家具の広報担当者は「会見の予定は当初からなかった」と言うが、同社に詳しい関係者は「大塚久美子社長は会見を予定していたはず」と明かす。

 
 

 当初、決算発表予定の2月14日までに前述の増資や業務提携をまとめることが、その条件だった。だが、それが間に合わず、会見を延期。1日遅れで、増資と提携が発表できるようになり、“手ぶら”は回避されたが、なぜか、社長会見は開かれなかった。

 販売不振で業績が悪化した大塚家具は、現預金が減り続け財務内容が急速に悪化。18年12月期の中間決算で初めて、「継続企業の前提に関する注記(GC)」が記載されると、取引金融機関の姿勢が一段と厳しくなり、両者の関係はぎくしゃくするようになる。

 金融機関主導と思われる大塚家具の身売り報道が急激に目立つようになった。結局、報道は実現せず、18年10月にコミットメントライン契約は解除された。大塚家具は日本政策投資銀行と関係の深い在庫担保融資をする金融会社から資金を調達するようになった。

 コミットメントラインを解除すると、身売り報道も沈静化。重要な資金繰りの後ろ盾を失う代償を払う代わりに、口うるさい金融機関の足かせがなくなった久美子氏だが、今度は社内役員の掌握に苦労する。経営再建をめぐり取締役内部で意見が対立。結果的には久美子社長が押し切る形で、今回の増資や提携を決めた。

売り上げ増は期待薄

 2月15日の決算発表当日、本誌に「社長会見もレクの予定もない」と大塚家具の広報担当者は説明したが、実際には一部メディアの取材を久美子社長は受けている。その経緯について広報担当者は「記者が押しかけてきたため、対応した」と説明。また、取締役会で社長と反社長派が対立したことについては否定した。

 38億円の増資とヤマダ電機との提携が発表され、久美子氏は続投の意向だ。しかし、破格の「在庫一掃セール」以降、国内店舗は売り上げ不振に戻り、売り上げ増は期待薄だ。

続投するという大塚久美子社長
続投するという大塚久美子社長

 「不振店舗の大半を閉鎖、ヤマダ電機の店舗で家具を販売し、中国で販売実績をあげる再生策しか残されていなかったが、店舗閉鎖の考えはないようだ。抜本的な再建策とはいえない」(証券アナリスト)

 視界不良の中、急浮上したのが、袂(たもと)を分かった創業者で実父・大塚勝久氏との和解・復帰説だ。広報担当者は否定するが、「第三者を通じて、すでに水面下で交渉が始まっている」(関係者)という。

 実現すれば、イメージ刷新につながるかもしれないが、それが起死回生につながるかはわからない。

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 この記事は、週刊エコノミスト3月5日号の記事をウェブ用に編集したものです。連載「週刊エコノミスト・トップストーリー」は原則、毎週水曜日に掲載します。

週刊エコノミスト3月5日号

 
 

エコノミスト編集部

藤枝克治編集長率いる経済分野を中心として取材、編集するチーム。経済だけでなく社会、外交も含め幅広く取材する記者の集団であり、各界の専門家にコラムや情報提供を依頼する編集者の集団でもある。