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勤労統計問題「アベノミクス偽装」の拭えない疑念

位川一郎・毎日新聞紙面審査委員
衆院予算委員会で厚生労働省の毎月勤労統計問題について国民民主党の玉木雄一郎代表の質問に答える安倍晋三首相=国会内で2019年2月25日、川田雅浩撮影
衆院予算委員会で厚生労働省の毎月勤労統計問題について国民民主党の玉木雄一郎代表の質問に答える安倍晋三首相=国会内で2019年2月25日、川田雅浩撮影

 毎月勤労統計の調査方法変更をめぐって、アベノミクスが成果を上げたように見せる「偽装」が行われたかどうかが国会で大きな議論になりました。真相はまだ分かりません。ただ、少なくとも「偽装の土壌」が存在することは明らかになったと思います。

「無理筋」に見えた野党の追及

 焦点は、従業員30~499人の事業所について、調査対象を2~3年で総入れ替えしていた方式が、毎年一部を入れ替える方式に変わったことです。

 2015年に、当時の中江元哉首相秘書官が厚生労働省に対して変更を促すような意見を伝えていたことから、野党が「アベノミクスの成果を示したい首相官邸の意向が働いたのではないか」と追及しました。

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毎日新聞紙面審査委員

 1957年広島県生まれ。東京大経卒。81年埼玉新聞社入社。88年毎日新聞社入社。水戸支局、経済部、総合メディア事業局、地方部などを経て、2004~10年経済部編集委員。国土交通省、農水省、総務省などを担当し、ライブドア騒動、米国産牛肉の輸入再開、公共事業問題などを取材。13年から現職。