正月が過ぎるとちまたではバレンタイン商戦が繰り広げられ、やがて3月の桃の節句に合わせるように「♪人形の久月(きゅうげつ)~」というテレビCMが流れる。久月は東京・浅草橋に本店を構える人形問屋で、同社を創業以来経営しているのが横山家である。
初代が人形師として創業
「社史 久月のあゆみ」によると、横山家は江戸時代初期に武蔵国足立郡で名主の星野彦六のもと久左衛門(きゅうざえもん)新田(足立区神明町)を開発した横山久左衛門の末裔(まつえい)であるという。
人形店としては、江戸後期の天保6(1835)年に初代となる横山久左衛門が40歳で人形師・久月と号して神田に創業したのが祖だ。ただ、もともと趣味で人形を作っていたが、人形だけでは生計はたてられず、玩具などの製造販売でしのいでいた。そして、2代目久兵衛(きゅうべえ)のときに茅町2丁目(台東区)の現在地に移転した。
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森岡浩
姓氏研究家
1961年、高知県生まれ。早稲田大学在学中に独学で姓氏研究を始める。文献調査やフィールドワーク、統計を用いた実証的手法を用いる。2017年4月からNHK「人名探究バラエティー 日本人のおなまえっ!」に出演。著書、多数。
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