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上海株上昇の裏に潜む「日本の景気後退リスク」

熊野英生・第一生命経済研究所 首席エコノミスト
 
 

 世界各国の株価は2018年末あたりをボトムにして、2019年1~3月にかけて急反発している。特に上昇が著しいのは上海総合指数である。年初の安値(2440ポイント=取引中の安値)から約25%も上昇している。日経平均株価の半値戻しに比べて2倍のペースである。

 3月5日に開幕した中国の全国人民代表大会(全人代)では、中国政府は強力な金融緩和とインフラ投資を軸に景気悪化への備えに本腰を入れている。他にも、中国への外資参入の拡大、貿易連携の推進など、米中貿易協議を意識した内容が目立っている。

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第一生命経済研究所 首席エコノミスト

1967年山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。90年、日本銀行入行。調査統計局などを経て、2000年、第一生命経済研究所入社。11年4月から現職。専門は金融政策、財政政策、金融市場、経済統計。